こういった年老いた動物たちにとって、毎日新しい動物たちが保護されて来たり、知らない人間が出入りする保護施設という場所は、決して安住の場所ではありません。自分のお気に入りの場所や、ゴハンをいつ取られるかもしれないという事にいつも神経質になっていますし、何より群れで生活をするという本能を持っている犬にとっては、ボス(家族)が特定しないのは大変不安な事です。確かに年老いた動物たちの里親になると、若い動物に比べて、共に生活できる時間は短いかもしれませんし、現実的な問題として医療費もかかる事でしょう。しかし、元々飼われていた家族から見捨てられ、心身共に傷付いている彼らにセカンド・チャンスを与える事は助けられる動物にとっても、またそれを迎え入れる家庭にとっても、何ものにも変えがたい経験となります。
ファッションに流行があるように、犬種にもブームがあるようですが、仔犬・仔猫を飼い始めると、その命に対して少なくとも15年間の大きな責任が伴います。ペットにとって、人間の社会の中で飼い主から見捨てられるという事は死を意味します。現代の日本の社会において、それらの動物が野生の状態で生きていける環境はもはや残されてはいないのです。
家庭環境や経済状況に応じて、自分のライフスタイルにあった大きさや種類を選ぶべきですが、見た目が格好良かったり柄が何色であるかという事は、共に生活を始めてみるとさして重要な事ではありません。人間にも個性があるように、動物たちにもそれぞれ魅力的な固体差があります。遊びが大好きな子や、ただ飼い主の側に寄り添って寝ているのが好きな子、ちょっと鈍臭い子など、血統という枠では計る事のできない個性を生まれ持っています。
助けを待っている仔犬や仔猫の里親になるのはもちろん素晴らしい事ですが、新たに動物を飼い始める時に、数多くの年老いた動物たちもセカンド・チャンスを待っている事を思い出して下さい。あなたがその動物の最後を見送った時に、きっと生涯心に残る数々の思い出を残してくれる事でしょう。 |